野鳥のヒナは拾ってはいけないとわかっちゃいるけど…
今日のブログは庭で保護したスズメのヒナを無事に巣立たせるまでの19日間の記録です。もし同じような場面に遭遇してしまったどなたかのお役に立てれば幸いです。
とは言っても、なかなかヒナと遭遇する場面になど出くわすことはないと思いますが(笑)
巣から落っこちて迷子になってしまったのでしょうか?
ひどく衰弱しているスズメのヒナを庭で発見しました。体中、アリだらけで、かじられて身体をよじり苦しそうにもがいていました。
野鳥のヒナを拾ってはいけないことはわかっていましたが、自力で逃げることもできずアリにかまれるがまま、痛そうにもがくヒナの様子を見たら、とてもとてもそのまま見過ごすことはできず…。
無理無理、ほっとけない!!
このヒナはこのままでは死んでしまうのが明らかでしたので、ヒナの体中についていたアリを取っ払って、手のひらに抱いて家に連れ帰りました^^;
羽は生えてますが巣立ちヒナではなさそうです。巣も親鳥も見当たりません…
ちょうど私の目につくところに倒れていたヒナ…自然界の摂理に人間が手を出してはいけないのですが、ネットで調べてみたら例外として飼育が認められるケースはあるようです。
それは、
スズメのヒナが怪我をしていたり、衰弱していて命の危険がある場合には、回復するまで一時的に保護して自宅で飼育をすることは可能とのこと。
ですよね、ですよね~、
今回はやむを得ない状況ですよね。
エサどうする!!?家にある、あの食材で代用できます
是非はともかく、ま、連れ帰ってしまいましたので、とりあえず、洗面器の中にボロ布を敷き詰めて入れてあげました。まだ目が開いていないヒナです。
一時的に飼うことにしたのはいいけれど、さてさて、エサはどうする???
これまたネットで調べまくったら、
ゆで卵の黄身がイケるらしい!!すぐにゆで卵を作ってあげてみました。
ヒナは弱ってはいたものの、お腹が空いてたらしくちゃんと口を開け食べてくれました。
そうそう!たいへんたいへん!!
水も与えなければ!!
市販のゼリーなどについてくる小さなプラスチックのスプーンに、少量の水をすくって口に入れてあげました。脱水症状もあったのか、水分を補給したら心なしか元気になってきたように感じられます。
様子を伺おうと、のぞくたびに、か弱い声ながら、ピーピー鳴いて口を開けてエサをほしがる様子。なので20~30分おきくらいに、割りばしの先をけずってスプーン状にしたものに、ゆで卵黄身をのせて少しずつ口に入れてあげてました。
のどの横にある、そ嚢(そのう)と呼ばれる袋がぷっくりと膨らんで、食べたゆで卵の黄身が透けて見えるのに驚きました。はじめは知らないので、黄身がこぼれて首に付いているのだと思って、取ろうとしてしまいました。
エサは欲しがって鳴いたら、口を開けなくなるまであげました。量の目安は「そのう」のふくらみ具合です。まんまるにパンパンに膨らむとお腹いっぱいなんだな、と判断します。
スズメのヒナの、
そのう一覧参考画像はコチラ
※そのうとは、口と胃の間にある一時的に食物を貯めることが出来る袋のことです
そんなわけで、保護してエサがない時は、ゆで卵の黄身を代用してOKです。栄養ありそうですしね。
保護した日は何とかエサも食べてくれましたが、翌朝死んだりしていないか心配で、ひと晩たって、朝、見にいくまでがドキドキでした。
冷たくなってたらどうしよう…
おそるおそる、のぞいてみたら
元気でした!!(ホッ)
のぞきに行くと、ピーピー鳴いて大きな口を開けてエサをほしがって元気な様子に安堵しました。かわいいったらありゃしない💕
飼育2日め…エサや用具を買ってくる
ホームセンターのペットコーナーに出かけ、エサをどんなものにしたら良いかアドバイスを受けてきました。
買ったエサは2種類
メジロなどのヒナ用すりエサ。ヒナの成長に必要な成分を配合した完全栄養飼料です。粉末をお湯で溶いて混ぜて練り状にして食べさせます。
そして、
野生に帰すためには、生きた自然のエサが必要とのことで、私にはツライですが(笑)、ミールワームという虫も買ってきました。
ミールワームをつまむためのピンセットと、水を飲ませるためのスポイトは100均で買いました。
朝から日中は、ゆで卵の黄身や、買って来たすりエサを与え、夕方になってミールワームを初めてあげてみました。
ヒナのうちはミールワームに消化器官をかじられないよう、頭の先をピンセットでつぶしてから与える必要があります。
この、おがくずの中に
ワームがうじゃうじゃたくさん!!
気持ち悪かったけどヒナのため心を鬼にして、ミールワームの頭をつぶしました。ヒナはすっごく喜んで食いつきがよかったです。
ゆで卵より喜びました。やっぱり生きている自然のものが一番なんですね。
ちなみに足元の黄色いのは、こぼした黄身です
ミールワームに食いつき良く喜んで食べたものの、ヒナの様子がちょっと微妙でした。違和感があるのか固まってじっとしている。おそらく、ワームたちがお腹の中で暴れているのではあるまいか…
すっかりフリーズしてしまったヒナを手のひらに抱く。。。
私の手のひらで気持ち良さそうに眠る小さな小さなヒナ。もう~~かわいい💕なにひとつ心配することなく、すべてをゆだねて安心しきって眠るヒナの温かいぬくもりに、こちらもほっこり癒されます。
毎日、何度も抱っこしました。
ヒナはいつだって、うとうとまどろんで気持ちよさそうにしていました。
野生に帰すのに、抱いたりしたら、人間のニオイがついて仲間に受け入れてもらえないのでは??と息子に言われたので、ハッとして調べてみました。
すると、
鳥類は嗅覚が鈍いので、ニオイに関しては問題ないとのこと。
そもそも野生のスズメのヒナが、無事に成鳥となる確率はとても低く、わずか10%なんだとか…。100匹生まれたスズメのうち生き残るのはたったの10匹。過酷な世界ですね~…
人の手にかけられたスズメは、より生存が難しくなるかもしれません。悲しい~~…
助けたことがよかったと言えるのか…??
ただひとつ言えることは、このコは拾ってこなかったらあのまま確実に命を落としていた。なので、たとえこれから野鳥として巣立っていき、外敵におそわれるという悲しい結末が待っているとしても
わが家で可愛がられて、何も心配することのない安心と信頼の中で、ほんのひとときでも一緒に過ごせ、寿命を何日でも伸ばせたのだから意義はあったのではないか??
そう信じたいです。
10%しか生存の可能性がないのだったら、人間のニオイがどうのと気にかけずいっぱいいっぱい抱っこしてあげようと思った。それに何よりこのコは、最高に運のいいコ!!✨
庭の中でも、目に留まる場所で動けなくなっていて、たまたま私に見つけてもらって命拾いできた。なんてラッキーなコなんでしょう。そしてめちゃくちゃ可愛がられた。
こんな運の良いコだから
きっと生き延びることが
できるはず!!
「キミは運がいいコだから絶対だいじょうぶだからね!元気で大きくなろうね!!」と手のひらの中のヒナに話しながら祈った。
親だと思って安心して、わたしの手のひらでまどろむヒナと、そのぬくもりに、たとえようもない幸せを感じ…。短い期間でもこうやって親と子として、同じ時を過ごすひとときがありがたくて
涙、ぽろぽろ。。。
野生に帰さねばならないスズメのヒナに、これ以上、情が移るといけないので、あえて名前を名づけたりしませんでした。なんとしても立派に育てて、巣立たせねばという思いでいっぱいでした。
巣立ちへのレッスン
step
1エサは生きて動いている虫を与え、自然の中で自力でエサを食べれるように仕向ける
しばらくのあいだ、
人口のすりエサ(完全栄養飼料)を中心に、朝と夕方の2回は生きたミールワームを与えていました。日に日に食欲旺盛となり、お腹が空くと、ピーピーにぎやかに鳴くようになりました。
保護して5日め(まだ洗面器の中)
声や音にしっかり反応するようになりました。が、まだ自分の居場所から動かず口を開けてエサを待ってる状態(笑)
保護して7日め
(お手製の鳥かごにお引っ越し)
少しずつ、ぴょんぴょん飛びが出来るようになってきた。羽をバタバタすることも!飛べる日が近そうなので洗面器とお別れし、段ボール箱で手製の鳥かごをこしらえて入れてみた。
作った時に写真撮るのを忘れてたので、使用後のボロボロになった鳥かごの写真をアップします(ほんと、ボロボロ)笑
オロナミンCが入っていた箱(笑)
最初はこれでも立派な鳥かごで、自画自賛してた。ところがヒナが成長して力が出てきたので、脱走するようになってこんな無残な箱になってしまったのです。それで割りばし貼ったり、ガムテープ貼ったり(笑)
でも、かわいいんですよ~!脱走して姿が見えなくなっても、「チュッ・チュッ」と口を鳴らして呼ぶと、ちゃんと「チュッチュッ」とお返事をして、ちょこちょこ出てきて私のもとにやってくるんですからね、なんともかわいい💕
保護して8日~10日め
箱でこしらえた鳥かごから出たがって、隙間からいつのまにか脱走をくり返すようになりました。ぎこちないですが飛べるようになってきました。なのに、エサをもらう時は赤ちゃんのまま。
口を大きく開けて、ここに早く入れてくれとピーピー鳴きながら待つだけのヒナ。そろそろエサのやり方を変えていかなくてはいけません。
鳥かごのすきまから割りばしの先に、すりエサをつけ…それをヒナのできるだけ足もと近くに差しのべてみました。とまどうヒナ。「ついばむ」ことをまだ知りません。
お腹空いてるのに食べれない。でも何とか食べようとしなければ食べれないことを教えなくてはいけない。心を鬼にして(笑)、足もとの割りばしについたエサをつつかなければ、エサを撤去。
そして次のエサ時間に、また足もと近くにエサをさしのべる。お腹が空いているので下手ながらも徐々に割りばしのエサが、下にあってもつつくようになってきました。
鬼のようだけど野生で生きていくためにビシビシしごきました(笑)。水も自分で飲めないので抱っこして、容器に入った水に強制的にくちばしをつっこんで覚えさせました。
そして…
保護して11日め
ついに!
自分でエサをついばんで
食べれるようになりました。
step
2外の世界に触れさせる
外の雑音や仲間の声を聞かせるために、早くから鳥かごを庭に置いてみたり、抱っこして歩いてみたり外の空気を存分に吸わせるようにしてました。
もう部屋の中も自由に飛んで移動できるようになってきました。わたしの行くところ、行くところ、飛んでついてきて、可愛いったらありゃしません。
肩や首の下が特にお気に入り。スズメなのにこんなに慣れるものなんですね。もうたまりません。。。
なのに、刻々とお別れのときが…。
保護して17日め
もう、そろそろ巣立ちのタイミングかな??と感じました。可愛くて可愛くてとても手離せないと思っていたし、情が移って別れがツライと思っていたけれど。
このコは野生に帰さなくてはいけない野鳥のスズメ。試しに初めて、庭の草にちょこんと乗せてみました。そしたら自分の意思で力強く庭木に飛んでいきました。
さようなら!!元気で!!
と、思ったら、エサがほしくて縁側にもどってきた(笑)。あまりに中に入りたそうにするので、巣立ちの練習日だったと思ってまた家の中に入れました。
保護して18日め
出戻りのスズメを、朝から庭に出してエサを外であげてみた。そして自由に放し自然になじませるようにしました。
様子を見守っていたら、なんと!!ヒナは自分でダンゴムシやミミズを見つけては、すばやく自分の口ばしで捕まえて食べていた!!すごいすごい!!本当に嬉しくてホッと安心した。
自分でエサを食べれればよいのだから。これで生きていける!!でも、カーカーと鳴くカラスの声を聞いては、ヒナの身を案じ、ついつい中に連れ戻したり、なかなか子離れができない私。
でもこの日は夕方までほぼ外で過ごさせました。あるとき一瞬、外で姿が見えなくなって焦りましたが、バタバタとぎこちなく横切るスズメが!!ウチのコだ!!
あー!!と思わず声を出したら、ヒナは私を見つけ、空中で方向転換し地上に降り立ちました。そして私をめがけて「お母さーん!!」とでも言うかのように、喜びいっぱいにかけてきて、私の手のひらにとびこんできました。
たまらん、、、!!(笑)
で、このまま連れ帰り(笑)夜をいっしょに過ごしました。何度も私の手のひらで、すっかり安心してまどろみ、外の世界で頑張った疲れをいやしていました。
手のひらのヒナのぬくもりに、心いやされ、ヒナも安心しきって目を閉じうとうとし。私もヒナも幸せなひとときを味わいました。
保護して19日め:別れ
朝から、また庭に出してエサ(すりえさ)と水を一応、置いて外で過ごさせていました。また今日も縁側の周辺から離れずに過ごすんだろうな、と思っていました。
しかし…
30分ほどして様子を見に、庭に出て見たら…もうスズメの姿はありません。
ええええええ~~っ、、お別れもせずにいなくなった??「チュッ、チュッ!!」口を鳴らして呼べども呼べども、返事がなく。
立派に巣立っていったことを喜びながらも、もう一度だけ会いたくて。
もう一度だけ「お母さーん!!」と、ころがるように、かけてきてもらいたくて。夕方になり辺りが暗くなってきても、庭に出てあのコを呼び続けるアホなお母さんでした。
いなくなって1ヵ月くらいは、庭でスズメの鳴き声がすると、ハッとして庭に飛んで出て、チュッチュッと呼んでみる毎日でした(笑)
スズメの寿命はわずか3年ほどだそうです。息子いわく、でもその短い人生でお母さんにめちゃくちゃ可愛がられて過ごした日々は幸せだったと思うよ、と。自分でもそう思いますし、そうなぐさめてます。
あのコはとてもラッキーなコだから、きっとどこかで仲間と元気に暮らしているはず!!あ~あ、、、スズメのヒナ、とんでもなく可愛かったな~。。。。。。
スズメのヒナ飼育のまとめ
◆野鳥のヒナは拾ってはいけないのが決まりであるが、ケガをしていたり衰弱していて命の危険がある場合には、回復するまで一時的に保護して自宅で飼育をすることは可能である。
◆エサの用意がない時は一時的に、ゆで卵で代用できるが、早めにホームセンターでメジロなどのヒナ用すりエサを買い求めると良い。ヒナの成長に必要な成分を配合した完全栄養飼料なので安心。粉末をお湯で溶いて混ぜて練り状にして食べさせる。スポイトで水を与えるのも必須。
◆自然に帰すためには練り状のエサだけではなく、生きている自然の虫を与えていかなくてはいけない。ミールワームという虫を購入して、ピンセットで頭をつぶしてから与えると良い。
◆エサは20分~30分おきくらいに、ほしがるまで与える。首の横下にある「そのう」という袋のふくらみ具合で判断すると良い。
◆庭などに連れ出して、外の風を感じさせたり、仲間の鳥たちの声を聞かせたり、徐々に外の世界に慣れさせていき、最終的には自分の力で、自然の虫をついばんで食べれるところまで到達できれば、飼育完了。巣立ちの時の訪れとなります。
追記
あまりにもスズメとの楽しかった日々が忘れられなくて、また手のひらに抱っこしたくて、こんなものを楽天市場で買ってしまいました(笑)↓↓↓
かわいい~~(*^^*)