本日のブログ
ひっそりとあの世へ旅立たれた近藤誠先生…
近藤誠さんは2022年8月に心不全で急逝なさっています。
医師であり『患者よ、がんと闘うな』で大論争を繰り広げて以来、たくさんの本を書き続け、亡くなる寸前までものすごい数の本をジャンジャン出していた著名人ですのに、
新聞の訃報記事は写真なしで、小さく小さく掲載されただけ…。驚いたことに年末に開いた新聞の、2022年旅立った人一覧にはお名前すら載っていませんでした。
なんと寂しいことよ…。
マスコミも医療業界も大きく取り上げることをしないということは忘れ去りたい存在なのかもしれませんが、
決して忘れないよ、という私のような人間もいます。
たしかに、
近藤誠氏は業界の異端児として、疎まれる存在であったのかもしれません。だけど、現代医療の在り方に大きな一石を投じた功績は評価に値するものであるに違いありません。
がん=抗がん剤の常識くつがえす
今や日本人の2人に1人がかかると言われている癌。ガンといえば=抗がん剤というくらい、その公式は誰でもがパッと頭に思い浮かびますよね。
癌を患ったら手術や抗がん剤をするのが一般常識の時代に「患者よ、がんと闘うな」というセンセーショナルな本を書き、賛否両論を巻き起こしました。
私たちは長い間、
癌になったら手術→抗がん剤治療
再発や転移したら再手術→抗がん剤というガンの標準治療という名の下、医師の言うがまま何も疑うことなく従ってきました。
突き進むしかなかったのです。
闘うしかなかったのです。それが普通の一般人の常識でしたから。
しかしそんな癌治療の在り方に、癌=手術+抗がん剤で良いのですか??と、我々に疑問を投げかけ一石を投じたのが近藤誠先生です。
ご自分が慶應義塾大学の放射線医師として多くの患者を診てきた経験により気づいたことは、
手術をするとなぜか逆にガンが勢いづいて暴れ出すこと、抗がん剤によってむしろ逆にガンが増大すること、でした。
近藤理論…出会いは本棚から
この1冊のムック本、だいぶ昔のもので2013年に発刊されたもの。一度も読まれることなく我が家の本棚で眠っておりました。
もし万一、いつか自分が癌になったら読むことがあるかも…と捨てずに取っておいた本。
読むことになってしまいました(笑)
2022年2月に大腸がんが判明したのです。まさか近藤先生の本を読む日がくるとは思いませんでしたが、この本をはじめ、先生の著書が救世主となりました。
抗がん剤は増がん剤と警告
近藤誠先生は抗がん剤は増がん剤とまで言い切っていて、腫瘍を一時的に小さくする効果があっても、逆に癌が増大したり転移するなどし、
延命どころか、むしろ命を縮めることのほうが多いと述べています(著書 がんの逆襲)
たしかに、私がむさぼるように読みまくった癌患者さんのブログを思い返すと、抗がん剤を受けたのにもかかわらず、残念なことに癌が大きくなったり、あっけなく転移したりするケースがとても多い印象を受けました。
こんな痛ましく悲しいことはありません。
みんな1日でも生き永らえようと命がけで懸命に抗がん剤治療を頑張るのに、抗がん剤をすればするほど、苦しんで衰弱していき、
最後には力尽きてしまう患者さんの多いことに虚しくなりました。
抗がん剤効くならなぜ死者数減らぬ??
医者が積極的にすすめる抗がん剤で、どうして癌という病を克服できないのか?今は医療の発展がめざましく日進月歩で抗がん剤もどんどん進化しているというけれど、
なぜ癌で亡くなる方が依然として減らないのだろう。
抗がん剤が効くなら、癌の死者数が大幅に減っていなくちゃおかしい。
どんどん減ってほしいのに矛盾を感じずにはいられません。もちろん抗がん剤がうまく功を奏して病を克服し、お元気になられた方もたくさんおられるでしょう。
なので、全否定はできませんし、いたしません。
近藤誠先生いわく、白血病や悪性リンパ腫などの血液のガンには抗がん剤が有効なケースが多いとのことでした。ただ、固形癌には効かないよ、と。
近藤誠理論で救われたこと
先述した近藤誠ムック本の対談に掲載されていた中村仁一先生というお医者さん。
近藤先生との共著書『どうせ死ぬなら「がん」がいい』や中村先生最後の著書『やはり死ぬのは、ガンでよかった』によると、
在宅診療で癌患者さんを何人も看取った経験談として、近藤誠先生と同じ所感を述べられています。
場合によっては、手術や抗がん剤などといった標準治療をしないほうが、
下手に苦しみでのたうちまわることなく、穏やかに過ごせて、しかも10数年も生きている方がいらっしゃるとのこと。
ステージ4の場合、手術不可能で抗がん剤治療以外の治療法がないとなると、ほとんどの方は抗がん剤治療に賭けてみるしか方法がありません。そして強い抗がん剤の成分で体力が徐々にうばわれていく…。
むしろ抗がん剤を打たないほうが、副作用で身体を酷使することがないことが幸いし、うまくいけば何年も生きれる例が多々あるそうなんです。
そして亡くなる直前まで普通に話ができ、自分の足で歩いてトイレにも行けたり。
痛みに関しても薬でコントロールでき、のたうち回って苦しむことはほとんどないと。
QOL=Quality of life(クオリティ オブ ライフ)いわゆる生活の質を著しく落とすことなく、毎日を比較的穏やかに過ごせると。
近藤誠先生と中村仁一 両先生が、抗がん剤治療をせずに日々を過ごした、たくさんの患者さんを診てきておっしゃっているので嘘ではないと思います。
ポイント
この両先生の、何もしないほうが穏やかに長生きできるという説は、今回、私がステージ4かもしれないという苦しみや恐れに襲われたとき、どれほど安堵できて、どれほど心が休まり希望がわいてきたことでしょう。
自分は癌にやられ闘病し、抗がん剤の副作用に耐えながらズタボロになって朽ち果てていくのか…と暗たんたる思いがしておりましたものですから、
癌と闘わなくていいんだ、闘わない選択もあったんだ!!と心救われました。
穏やかに病と向き合えるという事実を知って、ものすごく、たとえようがないくらい、大きな希望がわいてきました。
少なくとも命の期限が未定になるわけですから。
うまくいけば長生きできる可能性もあるっていうことに、希望を持てました。
これまで長年、抗がん剤治療を行なってきた医師たちは、それこそ同じ症例や流れ、結果を何千、何万と診てきた実績とデータが確固としてあるので、大体の余命を予測できてしまうのでしょうね。
そして余命宣告がなされる…。
でも余命宣告って、いかがなものでしょう??余命宣告の是非に関するブログもこちらに書いてみました↓↓↓
余命宣告はすべきか?賛成? 山本文緒 無人島のふたりを読んで…感想 レビュー
本日のブログは 人気作家 山本文緒さんの遺作である無人島のふたりの読書レビューです。読んだ一番の感想は、病への冷静な向き合い方に潔さを感じたのと同時に一方で、余命宣告受けずに希望を胸に生きぬく道もあっ ...
続きを見る
よろしかったら
どうぞご覧くださいね(*^^*)